おおい町が誇る最高級食材「若狭ぐじ」の物語
古来より食材の宝庫と謳われる若狭湾。
その美しい海で育まれ、千年以上にわたり人々を魅了し続ける魚があります。
鮮やかな朱色の美しい魚体と、口の中でほどける繊細な白身で知られる「若狭ぐじ」です。

和名をアカアマダイというこの魚は、
かつて朝廷に献上される最高級食材として、
また現在では京料理の主役として、その気品ある味わいで多くの人々を魅了し続けています。
御食国若狭が育む美しき至宝
若狭地方は、その昔、
朝廷に食べ物を供することを許された特別な国「御食国(みけつくに)」と呼ばれていました。
現在の福井県は全国でも唯一、御食国として
「日本遺産プレミアム」に認定されており、
その中でも若狭ぐじは最高級食材として古くから知られていました。
角ばった頭の形から「屈頭魚(くつな)」と呼ばれ、
それがなまって「ぐじ」となったとされるこの魚は、明治時代には「若狭鯛」とも呼ばれ、
京都市中で若狭ぐじの一夜干しが有名でした。
美食家として名を馳せた北大路魯山人も、著書の中で
「甘鯛の姿焼き」を「鱗ごと食うところに風情がある」と述べており、
その味わいと食べ方の独特さを讃えています。
厳格な基準をクリアした選ばれし魚
若狭湾で水揚げされるアカアマダイがすべて「若狭ぐじ」になるわけではありません。
若狭湾で延縄漁・釣りで漁獲されたもので、
重さが500g以上、鮮度が良く、姿形が美しいものだけが「若狭ぐじ」と認められます。

アマダイは身が繊細で傷つきやすい魚のため、その取り扱いには細心の注意が必要です。
1尾ごとに釣り上げられた後、専用の保冷ボックスに入れられ、
厳重な温度管理の下で港へと運ばれます。
なるべく魚体に触れないよう、口にかかった釣り針が外れないときは
針を残したまま釣糸を切るほどの配慮がなされています。
港では水揚げされたアマダイの重さを量り、姿形が整っているか、傷がないかなどを丁寧に検品。
魚箱に並べるときも魚体に直接氷が触れないようウレタンシートを敷くなど、徹底した鮮度管理を行います。
これらの厳しい基準をクリアしたもののみが「若狭ぐじ」と名乗ることができ、
1尾ごとに水揚した港と漁船の名前が入った専用ラベルを貼り、全国に向けて出荷されています。
おおい町が誇る「若狭ぐじ」の8割以上を水揚げ
実は、若狭湾で獲れる若狭ぐじの8割以上が、おおい町の大島で水揚げされています。
この地域の専門漁師たちが、「のべ縄漁(はえ縄漁)」という伝統的な漁法で丁寧に獲っているのです。
1尾1尾を大切に扱い、魚にストレスを与えないよう細心の注意を払って漁獲されるからこそ、
最高品質の若狭ぐじが生まれるのです。
最上級ブランド「若狭ぐじ極」の誕生
令和2年11月、若狭ぐじの最上級ブランド「若狭ぐじ極」が誕生しました。
若狭ぐじの中でも重さが800g以上ある身が厚いもので、
従来の若狭ぐじよりも生で食べられる期間が延びるよう、
船上で活〆による血抜きと、神経抜きを施したものを「若狭ぐじ極」とします。
この神経締めの技術を大島漁協でいち早く導入したのが、子末哲也さんです。

船上で漁獲後すぐに脊髄に針金を入れて筋肉の動きを止める神経締めを行うことで、
身の美しさと旨味を保持し、刺身で食べられる期間を延ばすことに成功しました。
この手間暇かかる作業について、
子末さんは「本当においしい若狭ぐじを食べてもらいたい」という思いを込めて取り組んでいます。
究極の調理法「若狭焼き」とその魅力
魚のうろこを取らずに一塩して、丁寧にタレを塗り重ねて焼き上げる料理を「若狭焼き」といい、
若狭ぐじの代表的な食べ方の一つです。
香ばしく香る鱗のパリパリとした食感と、舌の上でほどける繊細な白身は上品な甘みを感じられます。

若狭焼きは日本料理の技法の粋とも言える極めて繊細な料理で、
シンプルが故に料理人の腕も試される逸品です。
うろこをつけたまま焼くことで、魚の旨味を閉じ込め、
外はパリパリ、中はふわりとした絶妙な食感を生み出します。
年間通じて楽しめる若狭ぐじ
若狭ぐじは福井県では延縄や釣りで年間を通して漁獲されるほか、
夏には刺し網でも獲れるため、一年中楽しむことができます。
おいしさの指標の1つとなる脂質は季節による変化が少ないことから、
どの季節でもおいしく食べられるという特徴があります。
冬には比較的大型のものが獲れ、夏には小型のものがたくさん獲れる傾向があります。
多彩な調理法で楽しむ若狭ぐじ
若狭焼き以外にも、若狭ぐじは様々な調理法でその美味しさを発揮します。
昆布締めにして適度に水分を抜き、旨味を凝縮したお刺身、
上品な甘い香りを引き立てた揚げ物、上質な白身を贅沢に味わえる酒蒸しや椀物など、
その繊細で上品な味わいは多彩な料理で際立ちます。

基本的には身が柔らかいため刺身には向かないとされていますが、
獲れたてで身の締まりも良い水揚げ後72時間以内でしたら、刺身も美味しく食べることができます。
これは産地ならではの贅沢な食べ方と言えるでしょう。
おおい町で若狭ぐじを味わう
おおい町内では、こすえ旅館をはじめとする大島エリアの各民宿で新鮮な若狭ぐじを味わうことができます。
水揚げがされていれば、道の駅うみんぴあ大飯で「お刺身定食」として楽しむこともできます。
産地直送なので新鮮さ、美味しさは抜群です!
世界に認められた若狭ぐじ
おおい町にも何度も足を運んでくださっている元公邸料理人の工藤英良シェフは実は
公邸料理人時代に世界各国の大使館で甘鯛の若狭焼きを提供し、各国の要人から高い評価を受けたそうです。
フレンチの技法「ポワレ」を融合させた工藤シェフ渾身のメニューとして、
国際的な外交の場でも日本の食文化の素晴らしさを伝える役割を果たしたとお聞きしました。

まとめ:千年の時を超えて愛される若狭湾の至宝
若狭ぐじは、古来より御食国として朝廷に食材を献上してきた若狭地方の誇りであり、
現在でも京料理をはじめとする日本料理の主役として愛され続けています。
厳格な品質管理と漁師たちの情熱、
そして料理人たちの技術が一体となって生み出される若狭ぐじは、
まさに若狭湾の至宝と呼ぶにふさわしい食材です。
おおい町にお越しの際は、ぜひこの千年愛され続ける美しき魚の味わいを体験してみてください。
その繊細で上品な味わいは、きっと皆様の心に深く刻まれることでしょう。
若狭ぐじをおおい町で食べるには…
おおい町内では、こすえ旅館をはじめとする
大島エリアの各民宿で新鮮な若狭ぐじが食べれますので、
興味のある方はご予約の際にお問い合わせください。
→水揚げがされていたら、お刺身は道の駅うみんぴあ大飯で「お刺身定食」として食べれます。
→おおい町内の民宿はこちらを参考(※1~22番が大島エリア)
産地直送なので、新鮮さ◎ 美味しさ◎ ですが、
天気に左右され、漁の具合でお時間をいただく場合があります。
ご予約は余裕をもってお申し込みください。
若狭ぐじに関するお問い合わせ
- 大島漁業協同組合:TEL 0770-77-0162
- 若狭おおい観光案内所:TEL 0770-77-0025
若狭ぐじのお取り寄せは こちら!

解凍すれば刺身としても食べられる「しゃぶしゃぶ用の若狭ぐじ」。2~3人前です。
あらは出汁に、お好みのお野菜と一緒にお召し上がり下さい。




若狭ぐじ商品のFAX申込用紙はこちら→ wakasaguji_fax
お問い合わせは→ 大島漁業協同組合 TEL.0770-77-0162 FAX.0770-77-1581

17年ぶりに生まれ故郷のおおい町に地域おこし協力隊として戻ってきました。
こどもの頃は山や川で遊ぶのが大好きでした。
起きたら聞こえる鳥のさえずりや車を走らせていると見えるキラキラ輝く海など
日常の風景が幸せに満ちているおおい町の魅力をみなさんにお伝えしたいと思います。